かっぱの肉
かっぱの肉。
小学生の時に父とその部下の人に連れて行ってもらった「かっぱ」
その日は東京までサッカーの試合を見に行きました。
何処の試合を見たのかは全く覚えていない。恐らくクラブワールドカップで国立競技場での試合だったのではないでしょうか。サッカーの試合も終わった後だったので夜も遅く、お腹がすいていたのは覚えています。
車を駐車場に停めて2,3分歩くと真っ暗な路地に人が並んでいました。こうこうと光る「かっぱ」の看板、そして大人がたくさん並んでいる光景に大人の世界に触れた気がしました。
「かっぱの肉貴重だから残すなよ」
それは祖母が幼いときに家の周りの用水路にうようよいると言ってたので当時の私はかっぱの存在をどこかうっすら信じていました。ものすごく不味かったらどうしようと思いました。
お店の中に入るとぎっしり人が詰まっていました。カウンター席に座るとメニューも何もなく注文の仕方をどうするかもわからない、その一方でだれ一人声を発していないので父に聞くこともできない張り詰めた空気のままです。
見たことのない食べ物が運ばれてきました。茶色なデロリとした物体は、器から汁がこぼれていました。頼んだ覚えもないのに父にも、部下の人にも同じものが置かれました。小学生の私にはまったく意味の解らない見たこともない食べ物でそれは完全にかっぱの肉でした。ものすごく美味しかったです。
先日、再訪しました。
並んでもいなかったし、すごい静かでした。でもあの時の私よりは緊張しないで食べることが出来ました。
あの時何か全く分からなかった食べ物は汁気の多い煮込みでした。食べると小学生の時の自分が思い出されて、なぜか感傷的な気持ちになりました。
煮込みということがわかりましたが、結局どういう味付けでどう作るか全くわかりませんでした。まだ東京にはかっぱがうようよ泳いでいる用水路があることだけはわかりました。