このご時世にあまりに魅惑的な「焼き餃子と名画座」書評
読書が好きです。推理小説、純文学、ノンフィクション、新書、少年漫画、青年漫画なんだって読みます。
毎回の様に話をしていますが、飲み食いが好きです。好きなだけ食べて、飲むために週に3度は走っています。大食らいが好きなのだから憂いなく食べたいのです。
本屋に行った際にこのタイトルに惹かれ、何の気なしに購入しました。これが平松さんの本はこの本が初めてでしたが、こんなにおいしそうに文章を書く人がいるのかと驚きました。お酒だけでなく、昼ごはん、夕ご飯、お土産まで様々な食事とのかかわり方や見方の切り口、食べ物そのものだけではなく、お店や一緒に食事をした人との空気感を一緒に共有できるような文章があまりに心地よいのです。
一話一話は短いのですが、その短い話がポンポンと続く為に色々なモノを一緒に食べて、次から次へとはしご酒をしているような気持ちにさせてもらえこの自粛期間で読むのに最高の本です。
私の好きな話は「路地裏のチキンライス」です。
鶏肉は地鶏。しっとり、ふっくら、じつにきめがこまやかな炊き上がりなのに、噛むほどに力づよい滋味が滲む。
海南鶏飯のチキンについての説明でこれだけ味の想像が付く表現があるでしょうか。
チキンを噛んだ時のプリプリ感、歯で噛んだ後にチキンが押し返してくるのが否応が無しに想像がつきます。
紹介されている六本木のお店「海南鶏飯食堂」にも伺いました。上品な見た目でシンプルな食べ物なのに、様々な調味料を好き勝手かけて食べられる、ご飯のおかわりもどんどんお勧めしてくれるおしゃれなのに気取っていないとっつき易い空気がとてもよかったです。
読みやすくて美味しい気持ちになれる本です。こういう文章が書けるように咀嚼しながらご飯食べられるようになりたいです。
そろそろ外出が許されるので楽しく飲み歩きたいです。
今週のお題「好きなお店」